茶の湯に魅せられ
東海地区の大きな茶会があり、裏千家16代家元の坐忘斎宗匠の面前で茶を点て飲んでいただく機会に恵まれました。振り返れば学生時代にフラッと鎌倉の寺院に行ったのが茶の湯との出会い。 散策の疲れが出てきたとき「抹茶飲めます」看板に惹かれて入ってみる。お寺の縁側に通されると、客は私たった一人。広い庭で、水琴窟の音を聞きながら何の作法も知らず臨んだ抹茶。その空間が醸し出す雰囲気と、点ててくださった方との会話が精神世界へと引き込んだ。その妙な体験が忘れられなくて20代前半で現在の先生の元 稽古を始め約20年。裏千家より茶名を頂き、助教授まで駒を進める。その中で様々な出会いがあり、ずいぶん遠くまで来た気がする。美を追求する道、おもてなしの心、総合芸術と色々な魅力がある茶の世界は飽きることを知りませんが、やはり禅からくる精神性に一番の魅力を感じて稽古が続いています。そんな中、脈々と茶の道を伝承する千家の血筋の方に飲んでいただくことは夢でした。皆の前で「お点前さん、構えがいいよ」とのお褒めのお言葉も頂戴し、また一層この世界に深く身を沈めていく決心をした。 気になって検索したところ、原点となったのは鎌倉の浄妙寺喜泉庵。お礼参りではありませんが、家族を連れて久々に行ってみよう。